フラッシュライトのメンテナンス

潤滑が足りないのだ Oct.9,2018


ここ最近忙しくて記事が出せてなくてすいません。サイト管理人の友人Sです。簡易更新兼ねてメンテネタです。

 

どんな道具でもメンテが必要です(特に高性能な奴)。この本なんかは山道具のメンテの基礎を学べて割とオススメなんですけど↓

でもふと思えばフラッシュライトのメンテナンスってあんまり浸透してないなって感じます。

あ、今回の記事はライトマニアの方々は言われんでもわかっとるわって感じの内容なので読まなくてもいいですよー。

 

なんでこんなこと書くかっていいますと、

中古のフラッシュライトを買って届いた時や周りの方々のライトを触らせてもらうとき、

結構な確率でネジからいや~な感触が伝わってきます

何かが削れていく声なき悲鳴が

ひどいとただのグリス切れなのにネジの精度が、、、とか言い始める始末。

まあ、他の道具と比べたらフラッシュライトなんてほぼノーメンテなんでしゃあないんですけどね。

 

グリス

 

お願いなので皆さんグリスアップして下さい!

今回の内容の8割はこれです。

そもそもグリスの役割は?

・ネジ、Oリングの保護、腐食防止 ・防水性の向上 ・安定した導通の確保

ネジがトゥルントゥルンになって気持ちい~ってだけじゃないんですよ笑。フラッシュライトのパフォーマンスに寄与するコンポーネントの一つです。

フラッシュライトを使ってると段々とグリスが汚れを含んで黒くなってきます。新しいグリスを塗る前に古いグリスを落としましょう。古いグリスが砂とか含んでたらどんどん削れて行きますから。

ボディ側は汚れ具合にあわせてティッシュで拭き取るなり、Oリング外してパーツクリーナーをぶっかけるなり、ぬるま湯と古歯ブラシで掃除するなり何でもできるんですけど、ヘッド側やスイッチ側は分解でもしない限りはそういうわけにはいきません。

しょうがないのでティッシュを細く丸めて弱めのパークリを少し染み込ませて拭いてみてるんですけど微妙ですね苦笑。なんかいい方法あったら教えてください。

ネジを綺麗にしたらグリスを塗りますが、ネジとOリング(赤い部分)に塗りましょう。汚い過酷な環境で使う人はちょっと多めにベットリ、綺麗な環境で使う人はサラッとうす~く塗りましょう。グリスをたくさん塗ったほうが保護になるんですけどゴミや埃を集めてしまうので使用環境にあわせて変えましょう。劣悪な環境であるほど頻繁にグリスを塗りなおす必要があります。

で、最後に接点部分(青い部分)を綺麗に拭いましょう。なんかライトの調子が悪いなって時は接点部分が汚くて導通が悪くなってる場合があります。ここを綺麗にするだけで復活することもあります。

最後にネジを締めたり緩めたりしてグリスをよく馴染ませましょう。

高出力なキセノン系など熱くなるライトはベゼル付近のグリスが蒸発してレンズが曇るので余分なグリスを拭き取っておきましょう。

さて、グリスにはいろいろありますが、フラッシュライト用のグリスと言えばこれ。

NyoGel 760G

シュアファイアやマグライトをはじめとするフラッシュライト各社に正式採用されているNye社の高性能グリスです。耐水性に優れた電気接点用のグリスでネジ部の導通が必要な場面で特に効果を発揮します。

輸入した時にいくつか余分に入れた分をEZ-liteに置かせていただいてます。残りラスト1個なので欲しい方はお早めにどうぞ。はい、宣伝です笑。

で、ニョーゲルは良いグリスなんですけど問題はお値段がちと高いんですよ。。。

なので筆者もネジの導通が必要な個所にしか使ってません。で、他の箇所はと言うと、バイク整備で使う汎用のリチウムグリースが部屋に転がってるのでケチってそれ使っちゃったりしてるんですけど、くれぐれも真似しないで下さい。ゴムパーツへの攻撃性が無いわけではないので(※)。

ニョーゲルたけえよって人はシリコングリースを使ってください。

※Oリングがシリコンゴムの場合は逆にシリコングリースは避けた方が無難です。シリコンゴムに対しては一般のマルチパーパスグリース推奨です。

別にニョーゲルみたいな高級品を買わなくても良いので、せめて普通のシリコングリースくらいは是非用意して下さい。ほんの数百円でフラッシュライトの寿命を大幅に伸ばせますから。

フラッシュライトの所有本数が少ない人はこれくらいのサイズ↓でも十分かと思います。

追記Dec.26,2018

CPFで10年前に既にスレッドが存在してました。

http://www.candlepowerforums.com/vb/showthread.php?126645-Comprehensive-Grease-and-Lube-Thread

 

ゴム関係

フラッシュライトの内部というのはデリケートなものです。特に水の侵入なんかは効果覿面でうっかりライトの内部に侵入した水が流れ出る時には色水になって出てきたりとか笑(そのライトは死にました)

ゴムパーツは外部の環境から内部を守る防衛線です。

ここが突破されると終わりなわけです。

フラッシュライトを買うとメーカーによっては予備のOリングやスイッチブーツが付属しますが、これ交換したことが無い人が多いんじゃないでしょうか??

ゴムパーツは消耗品です。

使っていれば定期的な交換が必要です。

 

裂けてる、千切れてる、すり減ってる、とか物理的なダメージを受けてたらもちろん交換。

劣化して硬くなったりひび割れてるのも交換が必要です。ゴムパーツは潰れて変形することで防水性を発揮するので劣化して弾力が無くなると防水効果は期待できません。

Oリングは交換するだけなので簡単です。安全ピンで引っ掛けると簡単に取れます。

交換用のOリングが付属してなければメーカーから取り寄せるのが手っ取り早いです。ただ、メーカーによっては入手が難しかったりしますのでそういう場合は特殊な形状でなければサイズを測って汎用のOリングを使えば大丈夫です。

 

で、お次はテールスイッチのゴムブーツ。つかってると表面がツルツルになって段々膨らんでカポカポになってきます。

メーカーによってはユーザーによる交換前提でスペアのゴムブーツが付属してくるのに交換方法が取扱説明書に載ってない。中華ライトあるある。

スイッチの内側をのぞいてみて下さい。大抵リテーナーリングがあります。

こいつの穴にピンセットやスナップリングプライヤーなんかを突っ込んで回すと分解できます。

ほとんどのライトはリテーナーリングを外すだけで分解できます。リテーナーリング1つで全部固定されているのが多いですが、モデルによってはリングが二重ではいってるものもあります。

ただ、スイッチの分解ができないライトもあります。そういうのは変に弄らずにメーカー修理に出しましょう。最近のシュアファイアのP規格スイッチは簡単に分解できそうに見えて三つ穴タイプのリテーナーリングをロックタイトで封印してる鬼畜仕様です。(Z57/58旧/59旧/61/68は外側から分解可)

で、ゴムブーツのスペアなんですけど意外と入手しにくいんですよね。

なのでノーブランドのスイッチブーツを少しだけez-liteに置いておきますので交換が必要な方は是非ご利用ください。サイズは14㎜なので多くのライトに対応すると思います。スイッチフィールは固めです。

汎用品を使う場合、ラバーブーツ内側中央の突起を必要に応じて切り落としてください。もともと付いていたラバーブーツと比較すると参考になります。

フラッシュライトはスイッチやヘッドの内部パーツの固定にリテーナーリングを頻繁に採用していますのでよくライトを弄る人は先の細いペンチを一本持っといて損はありません。

また、それに加えてネジが固着してる時なんかはラバーレンチが役立ちます。ラバーレンチで簡単に外れないモノに関しては破壊のリスクがあるのでそれ以上先に進むのは基本的に勧めません。なお、ロックタイトが塗布されてるところを無理やり開けると大抵メーカー保証が失効するので注意してください。

ゴムパーツは基本的に純正を基準にしてもらえば良いのですが、あえて違うものを選ぶことも可能です。

Oリングを純正よりも太いものに変えることで防水性を高めることができます。もちろんOリングがもっと擦れるので摩耗は早まりますし、ネジの抵抗が増えるので操作性も悪くなりますが。

スイッチブーツを変えることでスイッチのフィーリングを柔らかくしたり硬くしたり好みと用途にあわせて変えることができます。誤点灯しやすくて困ってたら硬いスイッチブーツに変えてみたり、逆に指がかじかむ低温下などでスイッチが硬くて操作しにくかったら柔らかいスイッチブーツに変えてみても良いかもしれません。特に操作性が重要なタクティカルライトでは変えてみる価値があるかもしれません。

https://www.oveready.com/flashlight/torchlab-mcclicky-self-installation-clicky-kit-for-z41-p-c-z-g-x/

また、普段使いでは考慮することはないですが、過酷な環境で使用する場合は用途に適した素材のゴムパーツに交換することを勧めます。といっても強アルカリや強酸とか超高温とかあんまり極端な環境だとライト本体側が先に負けるんですけど。

特に注意したいのは耐寒性能。意外と寒冷地で使えないゴムって多いんですよね。例えば極寒の雪山にいく人はOリングをシリコンゴム系など寒冷地でも使えるものに変えておくことを勧めます。ただ、シリコンゴムはバランスは良いですが万能ってわけでもなくて逆に耐油性や耐圧性などでは劣りますのでエンジンオイルやガソリンなどとの接触の可能性が高い機械の周りでの使用やダイビングライトには不向きです。そういう場合はフッ素ゴムにしてみるとか。ゴムパーツは防衛線ですから使用環境が過酷な場合はそれに適した素材に強化しておくと良いです。

その他

液漏れの話

液漏れはアルカリ電池が圧倒的に多いです。まあリチウム系で液漏れってなると爆発炎上して水でも消火不可みたいな大変なことになるので変な使い方しない限りは液漏れをしないようにできています。中古ライトをレストア目的で買ったことがあるのですが、前オーナーが安物のリチウム電池を使って爆発したもので、スイッチブーツはもちろん大きく裂けて、分厚いガラスレンズもバラバラに割れていて破壊力の大きさに驚いたのをよく覚えています。

話を戻しまして、筆者は基本的にリチウム電池やリチウムイオン電池しか使わないのであんまり液漏れの経験はありません。また、エボルタなど今時のアルカリ電池は液漏れ耐性が高いです。なので基本的に液漏れリスクは昔と比べて格段に下がっているわけです。ただし、その大前提として

電池はケチって安物使っちゃダメです

電池ってのはわざと化学的に不安定な状態にしてエネルギーを蓄えてるようなもんなのでエネルギー密度の高い危険物だということを認識しましょう。航空機への持ち込みや郵便、宅急便で制限があるのは理由があるんです。

液漏れを起こしたら基本的にできることはそんなに多くないです。症状が軽度なら内部を掃除して接点をヤスリで綺麗にすれば復活できますが、回路の方まで行ってるとほぼ確実に死んでます。また、ネジの部分がやられたら固着して分解すらも厳しいケースがあります。ずぼらなマグライトオーナーあるある

だからそもそも液漏れを起こさないようにすることが大事です。

別に難しいことは言いません。どのメーカーも同じこと言ってるのでそれを忠実に守りましょう。

・高品質な電池を使う ・電池の新旧を混ぜない ・電池の銘柄を統一する ・電池は外して保管する ・電池を機器の中に入れて長期間放置しない

まあ、頻繁に使い込んでればしょっちゅう電池交換しますし液漏れなんてしませんよ笑。

最後に付け加えるとすれば充電池は個別番号と購入年を電池のラベルに書いて管理することを勧めます。

特に充電池を複数本使うライトは要注意。きちんと管理できない人は多セル専用にして運用することを勧めます。

レンズの掃除

まず、交換について。レキサンレンズは熱の影響で歪んで融けたり白く濁ることがあります。また、傷つきすぎてビームパターンに影響することもあります。その手の樹脂系レンズは消耗品と見た方が良いでしょう。また、ガラスレンズも衝撃で割れることがあります。そういう場合はレンズ交換しかありません。基本的にメーカー修理を勧めます。メーカー修理ができない場合は無理やりバラすことになるのでヘビーライトマニアの方々に相談しましょう笑。

ライトは使ってれば汚れてきます。特にレンズが汚れると明るさに影響が出るのですが、普通は毎日少しずつ汚れが溜まっていくので変化に気づかないことも多いです。これを掃除してやると一気に明るくなってビックリします。

筆者は弱めのパークリをティッシュに染み込ませて拭いたりしちゃってますが、真似しないで下さい

レンズには大抵AR(低反射)コーティングが施されています。また、レンズの縁の部分には大抵防水のためにOリングがあります。有機溶媒の類はこれらにダメージを与えてしまうので使わない方が良いです。水拭きでも汚れが落ちない場合は少量のアルコールを使いましょう。

リフレクターについて

ヘッドを開けてリフを取り外せるモデルもありますが、リフのめっき部分は直接触らないようにしましょう。よく分解の際に埃がついたりしますがティッシュとかで拭くのもやめた方が良いです。埃はエアダスターとかで飛ばしましょう。また、組付けの際もリフレクターがLEDや配線に接触しないように注意しましょう。内部パーツはデリケートなので扱いには気を付けてください。

それにしても昔はSMSリフとOPリフを好みに応じて交換できるモデルも多かったですが最近ではめっきり見ませんね。

インカンライトのバルブ交換に関して

車のヘッドライト交換と同じです。特に出力が高いヤツは手で触っちゃダメです。皮膚の油脂がバルブにつくとバルブの熱で焼けて破損につながります。交換時は手袋を着用して下さい。もし素手で触ってしまった場合はアルコールなどで拭いて脱脂しましょう。

最後に

フラッシュライトなんて基本的にメンテフリーです。液漏れとか水没とか3階から落っことしたとか明らかに死に直結するようなことをしない限りは何にもしなくても使えなくなることは基本的にありません。でもなんとなく可哀そうな境遇にあるフラッシュライトが多い気がします。ちょっと手を加えてやるだけでパフォーマンスを維持できますし、寿命も伸ばせます。

もしわからないことがあればツイッターでライトマニアの方々にでも相談してみて下さい。また、ライトマニアの方々は是非周りに教えてあげてください。みんなのためになる知識は共有しましょう!

なお、分解する際は変に弄って壊れても保証対象外の可能性もあるので注意しましょう。フラッシュライトの内部構造は複雑です。簡単には直せない個所は無理せずメーカー修理に出すことを勧めます。ライトマニアの方々だととりあえずヘッドは開けてみる!みたいな人もいますが、普通の人は真似しないように笑。彼らはそうやって好奇心に負けて何本も壊して泣きを見てるパターンが多いので苦笑。

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

ストイックに理詰めで装備システムを構築する実用主義者。ponkyがデザイナーならSはエンジニア(B2は中間でバランス良い)。Sからすれば実用性第一で見た目は二の次のようだ。体力はないが、読図やロープワークは超得意。
イギリス生まれなのにアメリカ英語しか使えない日本育ち。