ユニバーサルラテFeb.12,2018
ラテルネ、通称ラテ。時代の違う山用語を使うのはやはり違和感があるもんですな。どうも、サイト管理人の友人Sです。今日もAGECアウトドアにアクセスしていただきありがとうございます。今回は“ラテ”ネタです笑。
Fenixのヘッドバンドですが、実はPonkyとB2はこの製品嫌いです。
でも筆者は逆に大好きすぎてこれを使い始めてから手放せません。というかこれを使い始めてからいわゆる“専用設計のヘッデン”を買ってません。俺が好きなら皆も気に入るに違いない!(大嘘)
知らない方もいらっしゃると思うので軽~く説明しますと、これは普通のハンドライトをヘッデンとして使うものです。フラッシュライトをクランプで固定して、それをヘッドバンドで頭の横に固定します。
Fenixのヘッドバンドって実はロングセラーでして、発売開始は多分2008年頃。ってもう10年経つの?!
10周年おめでとう!!
それにしても。。。
Fenix ヘッドバンド
なんか日本語で書くとなげえなあ。今回だけ略してFHBでいいや(容赦無くアクロニムを増やす)。
目次
スペック
FENIX ヘッドバンド クランプ部サイズ:約61㎜×40㎜×高さ49~58㎜ 対応ライト径:約18~22㎜ バンド幅:25㎜ バンド長さ:約34~61㎝ 重さ: 34g(クランプのみ) 93g(クランプ×1+バンド+S20電池無し、トップバンド無し)
特に興味深いのは1インチ径のフラッシュライトに対応していないことですね。今でこそ軽量化の流れで細いボディのライトが増えてきて対応機種も多いのですが、発売当時は特にリチウム電池のモデルでは1インチ径が主流でFHBに対応するモデルはかなり少なかったと思います。この理由としてまず、重いライトはどうせ装着しても実用的じゃない、ということも考えられますが、予備電池も頭に着けちゃえみたいな姿勢からしてそれは多分ないでしょう。恐らくはリチウム電池をヘッドランプとして頭に装着することに安全性の問題があるという考えが当時はあってAAやAAA運用のライトを主眼に設計したものだと思います。
いや、ちょっと待てよ。当時のFenix P3DはリチウムモデルでFHB対応だったわ!ますます謎です。
付属品
クランプ×2 メインバンド×1 トップバンド×1 バッテリーケース×1 予備クランプスクリュー×1 予備Oリング×2
まず何よりも先にバッテリーケースは即ゴミ箱行きです。頭に余分な重量物を付ける意味は全くありません。予備電池はポケットやザックに入れときましょう。てゆーか発売当時は18650の普及がまだまだだったためか非対応ですしね。バッテリーケースの蓄光Oリングだけ外してクランプのネジに巻き付けとくと便利です。例えば夜に目が覚めてシュラフの中に転がっている時などに見つけやすいです。クランプの耐久性はあまり高くないので予備も含めて2つ入ってるのでしょう(後述)。
従来型のヘッデンとの比較
さて、こっから話が濃くなっていきます。従来型のヘッデンじゃなくてあえてFHBを選ぶ理由は?
FHBのメリット
まず最初にあがるのは好きなライトを選択できるってところです。フラッシュライト市場を見るとヘッデンよりもハンドライトの方がはるかにラインナップが充実しています。モード、UI、光学系などなど自分の用途と好みに適したモデルを探すとなると、ハンドライトの方が適したモデルを見つけやすいです。これは特に特殊な用途ではそうです。例えばトリプルやクオッドモジュールのヘッデンだったり、逆に遠方照射重視のヘッデンなんてのはなかなかありませんし、特定の波長が欲しい場合は従来型のヘッデンはかなり絶望的です。パワーが必要な場合は従来型のヘッデンと組み合わせて使うこともできますし、頭の左右で用途が異なるライトをつけて状況に応じて使い分けることも可能です。FHBは考えうるほとんどの用途に対応できます。
他にも、ハンドライトの円筒形の構造に由来するメリットもあります。従来型のヘッデンではネジを採用できないことから防水性が低く、複雑な形状であるが故に樹脂ボディーが多く、表面積の少なさも災いして放熱性の確保も難しかったです。でもこれは最近のゼブラライトのパクリヘッデンでは改良されつつもあります。また、従来型のヘッデンでは上下の角度調整部分が摩耗して緩くなる問題がありますが、FHBでは角度調整機構の耐久性が高いです。
安いのでハンドライトが余ってれば簡単にヘッデン化できます。数世代前の古いハンドライトをFHBでヘッデン化してBOB(非常時持ち出しキット)に放り込んでおくとかするためだけに持っとくのもありなんじゃないですかね?
FHBのデメリット
まず、重量バランス。FHBではフラッシュライトを頭から2㎝弱離れた位置で固定します。なので従来型のヘッデンと比較して重心が頭から少し離れてしまいます。特にライトのヘッドの重さは影響が大きいので遠方照射を重視した大型の光学系の採用にも限界があります。FHBで現実的に使えるハンドライトの物理的なサイズの限界もあるうえ、ハンドライトはバッテリー、回路系、光学系が一体なので、バッテリー別体式のヘッデンと比べて高出力化や光学系の設計の自由度で不利です。また、小さくする方にも限界があり、小型軽量を重視する場合は専用設計の従来型のヘッデンには勝てません。
加えて、あんまり高出力なフラッシュライトを着けてしまうと視界の横1/4くらいが真っ白になっていしまいます。
あとは、FHBは頭の横に来るのでキャップとは相性が良いですが、フードを被ったとき相性が悪いです。
用途・セットアップ
多分対応できない用途は超小型ヘッデンが必要な時くらいですかね?どんなに小さなライトと組み合わせてもどうしてもクランプのサイズより小さくはならないので。あとは、トレランに使いたければ使用するライトの選択がシビアになるかもしれません。もともと重量バランスが良くないのであんまりトレランには向いてないと思います。
そのほかの用途はほぼ対応できます。
1つ(一般用途)
パッケージにクランプが2つ入ってるからと言って頭にとりあえずライトを2つ着けろという意味ではありません苦笑。基本は左右どちらかに1つです。
登山、キャンプなど、99%の用途では右か左のどちらかに一つクランプでやや拡散寄りに振った軽量で汎用性の高いフラッシュライトをつけておけばいいでしょう。重いフラッシュライトにはトップバンドが必要になります。電源、光学系、UI、出力等で各々の用途に適したライトを選択してください。
2つ(特殊用途)
ライトが頭に複数必要な場面はかなり少ないです。例えば災害救助とか?
バックアップとして頭にもう一つつける場合と用途の異なる2機種を付ける場合があります。バックアップとして頭にライトを二つつける場合は同じか似たモデルのフラッシュライトを頭の両側に着けることになるでしょう。片方を使っていて電池切れになったときに電池交換する時間と手間が惜しい場面ではすぐにもう片方のライトを点灯して作業や行動を継続することができます。また、後者の用途の異なる2機種を着けるケースもあります。左右で配光やLED、出力等の違うフラッシュライトを着けることができます。例えば片方に拡散に振ったライト、もう片方に遠方照射に振ったライトを着ける場合だったり他にも左右で違う色の光が出るようにセットアップする場合が考えられます。
3つ(中二病)
これはかなり特殊です。普通の用途で3つ必要な場面はまずありません。
ケイビングなんかのようにとにかく光が必要な用途では従来型のヘッデンやアセチレン灯などと組み合わせて真ん中、右、左と3つライトを頭(ではなくヘルメットか)に着けられるでしょう。例えば、メインの拡散ライトと遠方照射と予備のバックアップみたいな?ポイントマンと後続でその辺のセットアップは変わってくるのかもしれません。もしかしたらケイビング業界では他に発達しているシステムがあるかもしれません。筆者はケイビングにはすごく興味があるんですけどやったことは無いのでちょっと実際どうなのかはちょっとわからないです。。。今度山岳会の先輩にお願いして連れていってもらおう。
CPFに子供自慢をしている微笑ましい画像があったのでお借りしよう。
クランプ
クランプは縦横どっちにもバンドを通せます。
ネジを緩めればクランプは開きます。この辺りは見た目通りです。
ちなみにクランプの後ろ側のネジは回しても何も起こりません。破壊しないと見えませんが、クランプの内側でロックタイトが塗られてナットに止められています。
角度調整の硬さは緩めだったり固めだったり個体差が大きいですが、使いにくいほど緩すぎや硬すぎといった個体は今のところ見ていません。調整機構の耐久性は高く、しばらく使っていれば摩耗して少しだけ緩くなる個体もありましたが、使っていて気になるほど緩くなった個体はいまのところ見ていません。角度調整機構は文句無し。
クランプの問題は耐久性が低いことです。割れたらすぐ捨てちゃうので画像が無いのですが、特にネジを強く締めすぎて使うとヒンジ付近にストレスが集中するのか落とした時などに割れます。クランプのネジはオーバートルク厳禁です。フラッシュライトが固定されたらそれ以上はネジを締めこまないようにしましょう。安いんですし、あくまでもクランプは消耗品と割り切りましょう。そのためにFENIXはクランプを2つパッケージに入れているのだと推測します。
クランプを改良するとしたら、耐久性・強度の向上と軽量化、そして重量バランス改善のために角度調整機構をもっと薄くしてライトをもっと頭の近くで固定できるようにすることです。
バンド
バンド自体はとっても高品質です。耐久性もありますし快適です。ただ、問題は設計が。。。
メーカーが意図したであろう使い方だと緩んでまったくもって使い物になりません。角環でバンドを折り返してこう↓やると一応使えます。
そんでトップバンド。えっと、これはどう使うんですか?多分こう↓?この全く無意味なプラパーツの使用からひしひしと伝わってくるメーカーのどうしても製造工程でミシンを使いたくなかった感。。。
他社のスペアバンドをわざわざ買うのはなんかもったいないですけど余ってるヘッデンがある人はそのバンドを移植するのもアリですね。個人的にはジェントスのバンドが一番使いやすかったです。FENIXはバンドだけでもさっさと改良すべきです。
FHB向きのフラッシュライト
まず、大前提としてボディ径が対応することが必要です。でもボディ径が合えばどんなフラッシュライトでも良いって問題でもありません。んなこと言ったらFHB使えばシュアファイアのM3LTだってヘッデン化できます苦笑。
一般用途のヘッデンということで考えていきましょう。あくまでも筆者が個人的に最低限重視することなので用途や好みによって何が重要なことかは変わってくるでしょう。
①軽さ
まず軽さが重要です。装備の軽量化ということもそうなのですが、FHBの場合は取り付けるフラッシュライトの重量がバランスに大きな影響に与えます。トップバンドが無くても快適に使えるモデルとなると限られてきます。FHBにおいてはテールスイッチよりもヘッドスイッチのモデルの方が軽量化やさらには操作性の面でも有利なのでオススメです。
②UI
ヘッデンに一般的に言えることですが、キャンプでは消灯状態からムーンライトモードに直で入れるUIが便利です。また、モード変更時にヘッドを捻るUIはライトが空回りしないようにクランプをきつめに締めておく必要があります。
③配光
綺麗で照射角の広い配光が使いやすいです。ただし、極端に広い配光は視野に影響が出るので少なくともレンズかリフを噛ませてる方が良いでしょう。
イチオシ
というわけで筆者のイチオシはオーライトのS2バトンです。個人的には昔のリフモデルの方が筆者の用途に合っていて好きだったんですけど現行の光学系は全部TIRレンズに移行しちゃいました。まあ近距離作業にはTIRの方が良いんですけどね。
あと、個人的に気になってるのはmecarmy PT18です。
ちなみに、FHBはシュアファイアのE規格モデル、Z系のコンバットグリップモデルも対応してます。
まとめ
我々はこれを待っていた。すごく斬新で実用的で画期的な製品です。発売後10年経ってもそれは変わりません。FHBを設計して発売したFENIXはすごく評価します。
でも10年間改良が無いんですよね苦笑。これはライバルメーカーが競合製品を出さなかったからでしょう。市場で独占状態だったからクランプの耐久性だったりバンドの調整だったりが改良されないまんま10年経ったんだと思います。早急なライバル製品の出現求む。
とはいえ、安くて実用的でユニバーサル。それは現在でも通用します。安いんですし皆さんも買いましょう?
独断と偏見に満ちた総合評価:90/100
ホルキンさんが扱ってるのでアマゾンで買うのが一番安くていいんじゃないですかね?ああ、ラテルネ。。。
1.ハイパワーなライトを使うと顔の側面が照らされ眩しい。
2.ライトの配光が視界の中央からずれていて気持ち悪い。
3.重いライトだとバランスが悪く不快。
4.ヘッドライトとして使う事を想定して作られている専用品を使う方がスマート。
↑詳しくはこの記事の「デメリット」に書かれてます。
ハンドライト用の低出力モジュールをヘッドライトとして使いたい場合は便利しれません。