こいつと山行くと絶対雨降るって友達がいる人はツイッターで良いねしてください!もし自分がそういう友達だったらコメントしてください!
T大ワンゲルの友人R!お前の雨男っぷりは犯罪だ(笑)!
サイト管理人のSです。今回はT大ワンゲルの友人が新人教育する時に役立てばと書いた記事です。(←頼まれてない、勝手に書いた)
というわけでまず大人の事情で注意書き。
・実践する場合は自己責任にてお願いいたします。事故が起きたとしても当方は責任を負いません。
懸垂下降の登り返しとか自己脱出とかセルフレスキューとかいろんな呼び名があります。
そもそもなんでこれができなきゃいけないかと言えば、
とりあえず懸垂下降してみたけどこりゃ降りられんわ、また上に戻るしかねえわ
って場面に出くわした時のためです。例えば、ロープの長さが足りないとか地形的に無理とかいろんなケースが考えられます。
ロープワークは同じことをやるにもいろんなやり方があります。登り返しだってそうです。今回は一番簡単で単純なやり方を紹介します。どんなやり方にも長所短所があって今回のやり方は簡単で最小限のギアでできますが他のやり方に比べてリスクが大きいことを覚えておいてください。
目次
必要な物
・フリクションヒッチをするためのスリング×2※
・安環×1
※このスリングのうち1本は懸垂下降のバックアップに使用されていても大丈夫です。
このスリングですが、普通は専用のスリングを用意するかと思います。エーデルワイスのプルージック専用の赤い7㎜のロープスリングを使ってる人が多いと思いますが筆者のお勧めは同社の5.5mmケブラーパワーコードです。ちなみにどんなフリクションヒッチでもそうですが、この太さのロープに何回巻いたらどれくらい効くのかとか自分で試して感覚をつかんどきましょう。一回滑り出すとホント止まりませんから。普通のテープスリングでもできるように練習しとくとさらにベター。
フリクションヒッチの結び目部分を掴んで体重をかけると落ちます。登ってる時は特に要注意。
やり方
あ~下に降りらんねえ。登り返しかorz
①仮固定
どんな時でも迷ったら仮固定!とりあえず両手をフリーにしてゆっくり考えましょう。あ、バックアップとってるなら仮固定は不要です。筆者はめんどくさがり屋なので下でロープが絡まってるとか手を離すことをわかってる時以外はバックアップとりません。
仮固定、やり方は何でもいいです。筆者はめんどくさがり屋なので脚にロープをグルグル巻きます。
②荷重移し替え
登り返すためには下降器にぶら下がっている状態からフリクションヒッチにぶら下がっている状態にしなきゃいけません。どうする?
ここからはいろんなやり方があります。今回紹介するやり方は超シンプルです。
ちょっとここで考えてほしいんですけど、懸垂下降のバックアップをやる時、特殊な場合を除いてフリクションヒッチは下降器の下にします。上にやると宙づりになって身動きが取れなくなる可能性があるからです。今回はそれを逆手に取ります。
まず、下降器の上にフリクションヒッチをかけます。プルージックでもクレムハイストでもバックマンでも何でもいいです。
そしたらそのスリングを安環でハーネスのビレイループと接続。安全環ロック確認忘れずに。
そんでフリクションヒッチをできるだけ上にずらします。
これでやっと下降器を解除する準備が整いました。下降器を外したらスリング1本だけでぶら下がる状態になるので失敗は許されません。次に進む前に一旦確認しましょう。フリクションヒッチはきちんと効くか、スリングがきちんとハーネスと接続されてるか、カラビナのロックは締まってるか、などなど。もし心配な場合は下降器のすぐ下でロープを結んでこぶを作ってフリクションヒッチが滑っても止まるようにしておくのもいいでしょう。
問題なさそうなら下降器の仮固定を解除してゆっくり降りていきます。そしたらすぐに下降器から体重が抜けて全体重がスリングにかかっている状態になります。
下降器から体重が抜けたので下降器をロープから外します。何かを外す時は注意深く確認する癖をつけましょう。
③登り返し
あとはフットループをつけて登るだけです。懸垂支点の強度はあまり高くないことが多いのでできるだけ静かに登りましょう。
まず、自分がぶら下がってるスリングよりも下側にフリクションヒッチをかけます。
(もし長めのスリング等が余ってるならビレイループと下のスリングを連結するとか、下降器を外す前に下ではなく上にフリクションヒッチをかけて長めのスリングで延長するとかいろいろリスクを減らす方法があります。)
そのスリングが効くことを確かめたら上の方にずらして足を突っ込みます。下のスリングに立ち上がると同時に上のスリングをさらに上にずらします。ずらしたらまた上のスリングにぶら下がります。
そしたら下のスリングを上にずらします。そうしたらまた上の写真のように下のスリングに立ちこんでずらしての繰り返しです。
ヤバイ!弾切れ!
スリングもカラビナもなんにもない!どうしよう!誰でも手ぶらで懸垂しちゃうことありますよね。
ざんねんでした~どうにもなりませ~ん
嘘です。こういうときは仕方ないのでぶらさがってるロープそのものを使うしかありません。ロープ末端でフリクションヒッチをやる方法があるので紹介します。ポロネって言う結び方です。ブレークスヒッチとも言います。ほかにも同じ機能の結びでバルトタンっていうのもあるんですけど、筆者はまだ覚えてません(反省)。
いつものお約束で仮固定したらロープ末端を手繰り寄せましょう。そしたら普段の登り返しと全くおなじことをやります。今回紹介したやり方だと完成形は↓写真のようになります。
最初にも書きましたがここで紹介した以外にもいろんなやり方があります。練習するときにいろいろ自己流で試してみてください。そのうち応用も見えてくるはずです。
豆知識【追記May.31,2018】
引き出しは多い方が良いので知っとくと役立つ(かもしれない)ヒントを追加で紹介します。
ビレイ器をアッセンダーとして使う
今回フリクションヒッチだけで登るやり方を紹介しましたが、フリクションヒッチは滑り始めたら止まらないので慣れていない人は少しリスクがあります。対処法としては、登りながら自分のすぐ下でロープに引き解け結びを下に引いたらほどける向き(上下の向き要注意)に定期的に結びながら登っていく方法もありますが、ロープ回収時に高確率で引っかかります。
そこで、下側のフリクションヒッチのかわりにビレイ器をアッセンダーとして使おう!ってなります。
ただし、これができるのはチョンボビレイができる、って言い方じゃ通じないか苦笑。えっと、ジジとかルベルソ4とかATCガイドのようなセカンド確保機能付きのビレイデバイスだけです↓。
こうセットします↓。ちょうどセカンドを確保する時と同じやり方で上下逆さまになってるだけです。見やすいようにロープ1本だけですが、通常は2本になると思います。
まず、注意点はセットの向き間違えたら止まりません。また、これはやってみればすぐわかりますが、ビレイ器の中をロープが屈曲してセットされているので、ロープ登高で使うアッセンダー要素2つのうちの下側にしかセットできません。
ロープ2本の場合は写真のように足にスリングでセットすることを勧めます。ビレイループ側でもできなくはないですが、ロープ径によっては非常にやりにくいです。これも実際にやってみればすぐわかることです。
ちなみにセカンド確保機能付きビレイ器でできるってことは、、、、
ガルダ―やロレンソ、ビエンテでもできるってことです。まあ、あえてこれをやる理由も特に無いのですが。上下逆さまなのでセット崩れに注意しましょう。
下降器が動かせない場合の荷重移し替え
今回紹介した登り返しでは、
仮固定→上側のフリクションヒッチをセット→自分とスリングを接続→下降器を下にずらす
という流れで下降器からフリクションヒッチへと荷重を移し替えました。しかし、
・下降器に髪の毛が巻き込まれた
・エイト環で下降していてセットが崩れてヒバリ結びになって動けなくなった
などの下降器が動かせない場合や他にもロープ上の結び目など固定されていて動かせないものにぶら下がっている場合は別の方法を使う必要があります。そういう場合は、いろんなやり方がありますが、これが一番簡単です↓。
①仮固定→下降器の上でフリクションヒッチ
ここまでは今回紹介した方法と一緒です。
②フリクションヒッチにフットループとして120㎝スリング(もしくは60を2本など臨機応変に)をフリクションヒッチに接続
③ビレイループにヌンチャクをかける
④フットループ(120スリング)に立ち上がってフリクションヒッチにビレイループのヌンチャクをかける
スリングに足を突っ込んで立ち上がり、
ビレイループとフリクションヒッチをヌンチャクで連結
フリクションヒッチにぶら下がって下降器からテンションが抜けました。
それ以降の流れは今回紹介した方法と一緒です。
ポイントとしては、ぶら下がっているモノよりも上側にフリクションヒッチかアッセンダーをセットしてそこに体重を移し替えます。荷重ポイントより下ではテンションが抜けるので作業できます。逆に荷重ポイントより上のテンションが入っているロープに割り込めるデバイスは少ないです。また、自分がぶら下がっているロープ以外に目の前に支点があればそこに直接スリングをかけて立ちこんだり、ホールドがあれば利用したりと現場の環境をよく観察して賢く使いましょう。
最後に重要かつ当たり前なヒントをちょっとだけ書きますと
・常にロープとつながっていること(常に2点以上でつながっていることが望ましい)。何かを外すには別の何かを接続しないといけない。
・もしこの状態で○○が破断したら?ってのを常に想像すること。
・ロープの上か下か、ロープワークは基本的に1次元の演算からはじまる。
・ロープ上で荷重がかかっている個所より上はテンションが入っている。
・テンションがかかっているロープに割り込めるのはアッセンダーとフリクションヒッチだけ。そのほかはテンションが抜けたロープにしかセットできない。
・基本、荷重がかかっている状態のデバイスは動かせない、外せない。
・荷重がかかった状態でロープ上を動けるデバイスはディッセンダーだけ、それも下方向にだけ。
こんなもんですかね。まあ読まなくてもいろいろ試してるうちにすぐ理解できることです。