緊急時の通信手段を考える

ヒゼウ ヒゼウ ヒゼウ Aug.5,2018


今回もAGECアウトドアにアクセスしていただきありがとうございます。サイト管理人の友人Sです。B2はジャンボリー、Ponkyは北海道の方へ出かけて、筆者も明日から南アへ、、、と思いきや台風の影響で入山が延期になったのでちと簡易更新です。

さて、今回のネタは遭難時の連絡手段についてです。

山でも海でも事故や遭難のリスクと言うのは必ずあります。事故が起きたら警察などに救助要請を出します。筆者の山岳会もそうですが、会の中で救助体制を取っている団体もありますね。

携帯電話が通じる範囲というのはかなり広くなりましたが、完全にカバーされてるわけではありません。海では岸から離れればすぐ圏外ですし、山も沢はもちろん、バリエーションルートのようにそもそも登山者が少ない場所は携帯電話会社も通信網の整備が後回しだったりしますね。

そういう場合に使えそうな通信機器を見てみましょう。※あくまでも日本国内という前提で話を進めます。

なお、このトピックについては筆者はそこまで詳しいわけではないので指摘や意見ございましたらガンガンお願いします。(ただし、8月は担当者全員不在なので対応は遅くなります。申し訳ありません。)

無線機

アマチュア無線(ハム)

街中でも携帯電話が広く普及する前の時代は緊急連絡と言えばアマチュア無線でした。街中で交通事故→アマチュア無線で救急車、みたいな時代もあったらしいです。

やはり、免許が必要なので興味あるなあって思いつつも手出してない人も周りには多かったです(特に男子)。4級くらいならメッチャ簡単なので実は楽勝で免許取れます。

携帯電話が普及した今の時代では以前ほどアマチュア無線が重視されているわけではありませんが、登山者の少ない場所は携帯電話会社の電波網の整備も遅れがちなので完全に携帯電話に頼り切れるとも言い切れません。バリエーションルートなどではまだまだ持っておく価値があるかと思います。

尾根や山頂では使えて、沢では使えない、と地形的に見ると携帯電話と似てます、というか携帯電話も街の基地局と通信する無線機ですから当たり前ですね。電波網が整備されてる山においては携帯電話は使えないけどアマチュア無線は使えるってシチュエーションはそれほど多くないように感じます。個人的な意見としては一般登山道を縦走する程度なら持っていく必要は無いかと思います。

古い体質が残ってる大学山岳部なんかではアマチュア無線絶対もってけ!みたいなとこも多いですよね。まあ話聞いてると無線機壊れて放置だの免許持ってないから使い方知らねえやみたいなのが多いんですけどね笑笑。ま、山やる学生ってそーゆーとこズボラなの結構多いので笑。

もちろん、趣味で持っていく方もいますよ。縦走しながらAPRSやってる人とかも会いますね。

それにしても今のハンディ機ってすごく小さいですよね!

最近VX-3に機種を変更したのですが、あまりの小ささにビックリです。アンテナを強化しても重量は200g切ってます。

山では送信出力なんてそれほどいりません。パワーがある機種は本体も重いですし、消費電力が大きい分バッテリーも多く必要になります。それならアンテナの利得を上げる方が軽量化には遥かに効率的です。

個人的に気になるのがNKT G4ですね↓。超高コスパの最軽量機種。保障認定の申請費用を入れても1万円チョイ。重さも100gチョイ。
http://www.atv50.com/nkt/nktg4/index.html

デジタル簡易無線

現在アマチュア無線はどんどん衰退傾向にあります。JARLがどうのこうのは置いとくとして、免許が必要ですし、オタクっぽいところもとっつきにくいのかもしれません。

その傍ら伸びているのがデジタル簡易無線の登録局です。免許不要、貸し借りOK、とかなりとっつきやすいのに、5W送信OK、アンテナ交換OK、とアマチュア無線に引けを取らないスペックで特小とは桁違いです。業務利用もOKなのでイベントなどでもよく使われています。

個人的意見としては、広い場所で分かれて作業したり、車に分乗したときの連絡や、スキーやキャンプなど、仲間内での連絡をするときはデジタル簡易無線の方が圧倒的に優れていると思います。アマチュア無線だと免許が必要なので周りに免許を持っている人がどうしても少ないのですが、デジタル簡易無線の場合は免許不要なので複数台持ってれば仲間に気軽に貸し出せます。本サイトのメンバーも全員デジタル簡易無線を導入しました。

15chを呼び出しとしてアマチュア無線的な運用をする“ホビー局”も出てきました。

ただし、緊急時の連絡となるとアマチュア無線の方がまだまだ優れていると思います。あくまでも個人的な意見と推測ですが、

デジタル簡易無線は局数が増えていると言ってもその大半はレジャーで仲間内の連絡に使う人だったり、業務で貸し出されて使う人たちです。そういう人たちからすれば不特定多数との交信なんて考えは無いでしょうし、そもそも無線に興味が無い人たちが多いでしょう。呼び出しチャンネルで長時間データ通信して独占しちゃう業務局の話なんかも聞きますよね。これも恐らく悪意は無くて単純に呼び出しの概念を知らないだけなのでしょう。

逆にアマチュア無線が衰退していると言っても地道に開局し続けている局というのは熱心な方が多いと思います。そういう方は普段から呼び出しをワッチしてるでしょうし、自宅に立派な固定局を構えて通信設備もしっかりしてるのではないでしょうか?山では相手方の通信設備が良いおかげで通信が成り立つってケースも結構あるのでこれは大きいですね。話によれば、昔の144MHz帯なんかはかなりマナーが悪くて酷かったみたいですが、熱心な方が地道に残ってそういう面では逆に良かったのかもしれません。

そういう風に考えると緊急時に救助要請をお願いするような場面ではまだまだアマチュア無線の方が強いのかなと思います。これはあくまでも現時点では、の話なので今後どうなるかはわかりませんが。

 

GPSメッセンジャー

さて、ここから先は筆者も使ったことが無いので軽ーく紹介するだけにします。使ったことある人いましたら使い勝手を是非教えてください。

GPSメッセンジャーは日本ではほとんど普及していませんが、欧米では非常にメジャーです。(※)

現在はSPOTとガーミンがシェアを2分しています↓。

SPOT
Garmin InReach

ガーミン inReach Explorer®+は最近日本の正規輸入代理店でも取り扱い始めたっぽいですね↓。
http://www.garmin.co.jp/products/outdoor/inreach-explorer-plus/

ボタンをポチっと押すだけでGPSの位置情報を衛星経由で自動的に救助機関に送信します。日本では全機能はカバーされていませんが、救助要請機能はカバーされています。デバイスを買って登録して月額・年間で利用料を支払うことで利用できます。

https://www.findmespot.com/images/spotcoveragemap/spotx_coverage_large.png

緊急時の救助要請機能の他にもGPSデータロガーの機能や衛星経由のネットワーク通信を利用した定型メッセージ送信機能、上位機種は双方向メッセージ送信機能も付いているみたいです。

(※)追記Sep.9,2018

今日カモシカに行ったらSPOTメッセンジャーが販売されていました!

電波法関連がクリアできたみたいです。だからガーミンも販売開始していたんですね。

今後は国内でもユーザーが増えるかもしれません。

PLB

パーソナル・ロケーター・ビーコン。コスパス・サーサット・システムという衛星を利用したシステムを使ったデバイスです。船舶用のEPIRBの方が有名かもしれません。山よりは海の業界で有名ですね。

International Cospas-Sarsat Programme

ポチっとボタンを押したらGPS位置情報と共に自動的に救助要請、というところまでは上のGPSメッセンジャーと同じですが、PLBは雪崩ビーコンみたいに電波を発信するので現地入りした救助者が受信機を持って直接電波の発信源を探すことができます。ある意味究極の救助要請デバイスです。

調べたらアマゾンで売ってたとは!!

衛星電話

単純に救助要請というよりはどこにいても信頼性の高い安定した連絡手段が必要という目的のモノですね。

最近はだいぶ小型化しましたが、救助要請だけが目的ならPLBの方が良いと思います。

筆者の勉強不足で説明するほどの知識が無いのと、他のサイトにも情報がたくさんあるので申し訳ありませんが、ここでは省略。

すいません。

ココヘリ

ココヘリは救助要請のデバイスではありませんが、救助要請後の救助活動で大きな効果があるので紹介させていただきます。基本的に山向けのサービスです。

ココヘリ

上述のPLBからGPSメッセンジャーの機能を削った感じのもので電波を発信するだけのビーコンです。救助連絡後にヘリを飛ばして要救助者を捜索して位置情報を救助者に伝達するサービスです。県警ヘリも受信機を装備してるってのはかなり強いですね。

衛星を利用しないサービスなので2つ大きなメリットがあります。

・ビーコンが超軽量コンパクト(20g!)
・利用料が安い

他のサービスと比較するととっつきやすくてすごくユーザー目線で設計しているのが高評価です。フィールドを日本の山に限れば最強に近いですね。

筆者自身も真面目に入会を検討しているところです。労山会員だと入会金タダだし♪入会したらまた追記します。

ただ、念のために最後にもう一度書きますが、救助要請の手段ではありません。遊びに行くときは在京(山行管理者)を立てるか最低限最終下山日をきちんと周りに知らせましょう。

まとめ

 
今回紹介したデバイスの機能の比較です↓。

機能比較

携帯電話無線GPSメッセンジャーPLBココヘリ衛星電話
救助要請機能(通信環境次第)(環境とリグ次第)+位置情報+位置情報×(通話機能)
ビーコン機能××××

 

今回は直接的な救助要請の手段を紹介しましたが、道具に頼るだけではいけません。どんなに高級でハイテクなデバイスを持っていても基本は同じです。

どこに行くのかあらかじめ周りの人に伝えること!

下界にいる誰かしらが5W1Hをしっかりと把握している状態にしましょう。きちんと計画書を用意しましょう。もし帰ってこなかったら誰かが騒ぎ立てるようにしておきましょう。きちんと保険に加入しましょう。これは危ない遊びをする人の最低限の責任です。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

ストイックに理詰めで装備システムを構築する実用主義者。ponkyがデザイナーならSはエンジニア(B2は中間でバランス良い)。Sからすれば実用性第一で見た目は二の次のようだ。体力はないが、読図やロープワークは超得意。
イギリス生まれなのにアメリカ英語しか使えない日本育ち。