EDCの考察【エヴリデイキャリー】

EDCの考察

サイト管理者の友人Sです。シュアファイア、フルタングに続き、今回はEDCについて言いたい放題でやっていきます。最近ではSNS上に「私のEDC」みたいな感じで携行品をいろいろ並べて写真をあげるのが流行っていますね。EDC Forumなんてのもありますし。ま、方法論とかアイデアとか今回は扱いません。んなもんいくらでもネット上に転がってますから。

EDCというのは皆さんご存知Every Day Carryの略ですね。直訳して日常携行。毎日、身に着けるギアのことですね。この単語が使われ始めて10年以上するのですかね?どこから来たのかよく知りません。もっともっと昔からつかわれていたのかも。EDCの形態が多様になり、ここ数年で認識がすこしだけ変わってきている気がします。

まず、EDCと切り離して考えることができないのがCCW、武器のコンシールドキャリーですね。EDCはアメリカで生まれた言葉だと思いますが、アメリカでは憲法で個人の自衛権が容認されています。とくに初期のころはEDCといえばまずハンドガン、という風潮がありました。EDCって単語を好んで使うような人の多くが単純に銃が好きだったのかよくわかりませんが、EDCは銃文化とセルフディフェンスの考え方に深く結びついていましたね。 日本国内の話をすれば、国内では拳銃はもちろん、護身という目的では刃物を携帯できません。日本では武力による自己防衛は基本的に認められていません。自己防衛がどうあるべきかの議論はここで行うつもりはありません。日本国内の刃物事情についても長くなるのと誤解を生みかねないのでここではあまり触れないことにします。護身についても含めて、このあたりの政治哲学的観点からの考察と現状の意識のついての分析に関してどこかで議論すべきだと感じます。機会があれば記事にまとめてみたいと思います。法律で規制されている物品の携帯はあくまでも自己責任でお願いします。

そろそろ本題にはいりましょう。まず、ここでいうEDCの範囲を定義します。EDCはここでは外出中に常に身に着けているものとします。ポケットに入っていたりベルトについているものはいつでも一緒ですからもちろんEDCと認めます。逆に車につんであるもののようにそこから離れる時があるならばEDCと認めません。バッグに入れているものはバッグを肌身離さずどこでも持ちあるくならばEDCと認めますし、トイレに行くときに置いて行ったりなどするようならEDCと認めません。EDCで最も重要なのは携帯率です。必要な時に必要なものをもっていないというのは意味がないのです。 特に緊急を要するような場面では即時対応することが求められます。それをはっきりさせたうえで目的を考えてみましょう。そもそもEDCの目的は2つあります。

1.日常生活のなかで便利または必須なアイテムの携帯

2.非日常の緊急事態に対応するためのアイテムの携帯

まあ、3つめにファッションとかいれてもいいのかもしれませんが今回は無視。 もちろん、この2つの目的両方のために携帯するものもありますし、この二つの境目が曖昧なものもあります。 1つ目の目的がどんどん重視されるのと2つ目の目的がだんだんと拡大されるにつれて、さらにはインターネット上でEDCの概念がより多くの様々な環境にいる人に浸透した結果、冒頭に書いたようにEDCの形態も多様化の方向に発展していきました。 EDCという言葉を知らない一般の方でも目的1のために財布、鍵、携帯電話といったものは携帯していますね。意識が高い人だと目的2のために笛なんかを持っているかもしれませんね。絆創膏なんかもってると女子力高いといわれますね。さて、これを読んでる人はみんな変態です。女子力とかを完全に通り越してますね苦笑。ポケットやベルトには絶対なにかありますね。ライト、ナイフ、MT(マルチツール)、海外なら拳銃、といったのを筆頭に小物がじゃらじゃら出てくるはずです。 当たり前ですが、持ち歩くものがふえればふえるほど重さや体積は増えていき、不快になって家に置いていくようになります。EDC実施率、すなわち携帯率が下がる一番の理由がこれです。

ここでフルタングの考察ですこし触れた装備のシステムの概念の登場です。ひとつひとつのアイテムがそれぞれの役割を果たすことで日常生活でぶち当たる大小様々な問題を解決するという大きな目的を達成するのです。だから、EDCのアイテムを個々で見るのではなく、アイテムの組み合わせで一つのシステムとみるのが大切なのです。 EDCのシステムでは携帯方法という部分が他と違ってとても重視されます。ものだけあってもそれを運ぶ方法が無ければシステムとして機能しません。服をかえるたびにものを移し替えるのがめんどくさい、ホルスターが不快、といった理由は携帯率低下の原因としてよくあるものです。また、人によってどれくらい多くの物を持ち運べるか、どれくらい不快でも気にしないのか、といったことが大きく違います。様々なことに考慮してその人にベストなシステムを組み立てることでEDCは効率的で合理的な組み合わせになります。 目的1のアイテムがシステムの中で有効に働いているか知る方法は簡単です。携帯しているそのアイテムをよく使っていて便利ならEDCのシステムに組み込まれますし、重くてあまり使わないなら自然に家に置いていくようになります。目的1で何を持ち運ぶかは生活のしかたや環境、体格などによる個人差が大きいです。 目的2のアイテムは注意が必要です。普段使うことがない分、日常生活ではただの重りです。とにかく、家に置いていきがちなんです。CCW、サバイバルキット、FAK(ファーストエイドキット)などが代表的な例です。目的2のアイテムをEDCのシステムに組み込む場合は非常に慎重に考えなければなりません。まず、システムに組み込んでいつでも持ち運べるか、それが必要になる確率はどれくらいか、それが必要になったときにどれだけ重要な役割をはたすか、これらの質問にまじめに答えなきゃいけません。鋭い人は気づいたかもしれませんが、これって目的1の場合も同じなんです。目的2のアイテムってのはどれも使う確率は低いけど使う場面では生死に関わる、などといった極端なものなんです。 便宜上、EDCの目的を2つに分けましたが、じつはこの分類というのは意味はありません。EDCで何を持ち運ぶかを決めるファクターは同じなのです。あるアイテムを携帯することの有効性をNとすると

N = P×U / D

P:使用頻度、U:使用するときの有効性、D:重量や体積による携帯時の不快度

Nが大きいほど携帯する価値があるといえます。 例えば、家の鍵を考えてみましょう。PとUは大きく、Dは小さくなるのでNはとても大きくなります。財布なども同じでこのタイプのアイテムはほとんどの人が携帯します。 サバイバルキットはどうでしょうか?Pが極端に低く、Dが大きいので家に置いていきがちなのですが、Uが極端に大きいのでNは大きくなるのです。目的2のアイテムはどれもこのパターンです。 極端な例を見てみましょう。バズーカ砲はどうでしょうか?普通に生きていればPは限りなく0、Uはそこそこ、Dは限りなく大きいのでNは極めて小さくなり、携帯する価値はほとんどありません笑。 EDCになにを組み込むか考える時、システムの中でそれぞれのアイテムのP、U、Dの大きさを考えると整理しやすくなります。 EDCでは携帯方法が重要になると上に書きましたが、それは携帯のシステムが上の式でDを操作するからです。快適な携帯方法はDを小さくしてNを大きくするのです。人間は物理法則からは逃れられないので熟慮が必要です。

ややこしいのでもう一度確認。N:携帯の有効性、P:使用頻度、U:使用するときの有効性、D:重量や体積による携帯時の不快度。

さて、人によってどれだけたくさんのものをEDCするかは違います。それは生活スタイルの違いでPやUが過大に評価されやすかったり、優秀な携帯システムでDが小さく抑えられていたりという理由もありますが、一番重要な要素はどこまでNが小さくなったらそのアイテムをEDCシステムに組み込めなくなるかです。この最小値をNίとすると人によってNίの値は違います。Nί ≦NとなるアイテムだけがEDCのシステムに組み込まれます。Nίが小さい人ほどEDCシステムに多くのものを組み込めます。これは服装、体格といったことが影響します。 もちろん、その日になにをするかでアイテムのNの大きさは変わってきます。だから常にEDCの中身は同じじゃなくてもいいとおもいます。むしろ、毎日同じというのも変な話です。ですが、EDCというのはシステムの携帯率をできるだけ100%に近づけることが重視される特殊な側面があります。なので、ある程度の一貫性がないと今日はめんどいから、重いからと言って何かしら家に置いていったのを後悔するかもしれません。この辺のバランスは自分で探すしかありません。そして、常に改良を続けて自分だけのシステムを構築していきましょう。 Dec.29,2016

 

 

Ponky
EDC最近流行っていますね〜
私もライトとマルチツール、その他諸々を持ち歩いていますが使用したものを補充するのってつい億劫になってしまいますよね。先日訳あって長距離を夜間歩いた際にもEDCは大切だと痛感しました。こまめに内容をアップデートしましょう!!

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ABOUTこの記事をかいた人

ストイックに理詰めで装備システムを構築する実用主義者。ponkyがデザイナーならSはエンジニア(B2は中間でバランス良い)。Sからすれば実用性第一で見た目は二の次のようだ。体力はないが、読図やロープワークは超得意。
イギリス生まれなのにアメリカ英語しか使えない日本育ち。