キセノンのLED化は性能低下?

LEDは邪道だ! Jul.17,2018


本日もAGECアウトドアにアクセスしていただきありがとうございます。サイト管理人の友人Sです。今回の記事はいろんな人に怒られそうですが苦笑、、消費者目線で気にせず書いちゃいます!

 

LEDも中華ライトもなかった時代。まだインカン(電球)だった時代。

そんな時代がありました。

まあ、筆者のような若僧はその末期しか経験していないんですけど苦笑。

 

当時フラッシュライトと言えばマグライトやシュアファイア、ストリームライトですね。いつもの読者さんの方々だとケルライト!!とか叫ぶ変態さんもいるかもしれませんが笑。

 

半導体技術の進化はすさまじいのでLEDってのは年を追うごとにどんどん性能が向上していきます。そのせいかフラッシュライトってすごい買い替えサイクルが速くなってしまいました。

 

でもインカンのライトは違います。電球ってのは切れますからバルブを交換する前提に作られています。っていうか本体部分以外の全てが消耗品。テクノロジーが進化しても電球を交換するだけです。ボディ、スイッチ、ベゼルといった本体部分は長く使う前提で作られています。なのでボディの耐久性は高いですし、長く使ってれば愛着も沸きます。

 

そんなわけで古い電球のライトをLED化するドロップインモジュールやタワーモジュールが売られています。シュアファイアの話をすれば、ソーラーフォース、ルーメンスファクトリー、国産では以前はYSCさん、現在はH2Tさんとかがいますね。スルーナイトなんかも昔作っていました。

で、LED化に詳しくない人がどうしても勘違いしがちなのが、

キセノンのライトに最新のLEDを搭載したモジュールをぶっこめば最強じゃね?!

て考え。もちろんそんなことはありえません。実際はと言えば、

どんなに高級なキセノンライトだろうが、どんなに高性能なモジュールだろうが、専用設計のLEDライトには勝てない。

キセノンライトのLED化は基本的にライト好きの遊びであって実用目的の改造ではありません。

別にLED化を否定する気は無いですよ。楽しいですから笑。

でもパフォーマンスの面ではどうしても不利なのは事実です。

 

時代がLEDに移り変わった時に交換電球の代わりにポン付けできるLEDモジュールをほとんど売らなかったのには理由があります。

新しいライトが売れなくなるからです。LEDとインカンではライトの構造が根本的に違うからです。

パフォーマンスを落とさないようにするにはヘッドごとすげ替えるか大幅な改造が必要になります。

 

LEDとインカンの違い

インカンのライトでは寿命の短さや耐衝撃性の低さを補うために交換が容易なモジュール化やショックアイソレーション(耐衝撃)ベゼルなんかが発達しました。

でもLEDではそれらの欠点が解消されたかわりに新たな問題が出てきました。それは熱に対する弱さと照射角の狭さです。

インカンのライトにポン付けで入れられるLEDモジュールの問題点はこの2つです。

・光学系のミスマッチ

・放熱が不十分

光学系

インカンはほぼ全方向に向かって光が出ますが、現在のフラッシュライトで使われるようなハイパワーなLEDは決まった方向にだけしか光が出ません。

図を見ていただけるとわかると思いますが、インカンのリフを流用するとフィラメントが突き出てる分のスペースを有効活用できません。さらに、リフの大部分に光が当たらないので中心にダークスポットが出やすくなります。同じ理屈でショックアイソレーションベゼルの場合は中心光の外側がリング状に暗くなりやすいです。

これはもちろん使用するもともとのリフの設計やLEDの種類の影響もあり、一概には言えませんので、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

これを解決するためにはLED用に新たに光学系を用意してやる必要があります。ミニマグのLED化キットでは交換用のリフが付属していることもありますし、P60互換モジュールのように光学系が一体型になっていて問題にならないものもあります。ただし、それでも次に述べる放熱性の問題は解決できません。まあ、P60互換モジュールの場合は放熱性以外にも巨大なネジの採用で空間効率が悪い問題もありますが。

放熱性

以前の記事でも述べたように、熱はLEDの大敵です。

インカンのライトでは熱自体は大した問題では無いのですが、LEDだときちんと放熱してやらないと簡単に壊れます。

なのでLEDライトの多くはヘッドの一部分にLEDが直接乗っかっていてヘッド全体がヒートシンクの役割を果たしています。

しかし、インカンのライトにLEDモジュールを入れた状態では放熱性は高くありません。高出力化の限界がどうしても低いのです。

まとめ

まあ、パフォーマンスは不利かもしれませんが、そんなことはどうでもいいんですよ笑。

遊びですから笑。

作ってる側もこんなこと百も承知です。

楽しけりゃ何だっていんですよ笑。

大事なのは我々消費者がちゃんとそれをわかったうえで買うことです。特にカスタム品は買い手のレベルも大事です。作り手と切磋琢磨して“良いモノ”を見極められるようにしなければなりません。

 

ちなみにちょっとした構想ですが、、、

P60モジュールをねじ込み式にして対応ボディとの密着性を高めて放熱性向上、非対応のボディやモジュールはスリーブ装着で対応みたいなことしたら面白いかもしれませんね。

そういやArcMania・カトキチ 壱式とかがねじ込み構造だったなあ。。。そういやArc Mania氏は今どうしてるんでしょうね。。。調べてみれば詐欺疑惑でCPFで燃やされたのがもう8年も前だったんですね。

 

キセノンライトのモジュール構造による拡張性は今のLEDライトでは失われているものです。

例えばXP-E2アンバーのライト欲しいって言ってもそう簡単には手に入りません。もっと特殊な光源だとさらに絶望的です。性能的に不利だとしても特注のドロップインを組むのが速くて安いやつです。

フラッシュライト業界の次の一歩は多用途への対応や技術の進歩に伴うアップグレードに対応できる規格化されたフラッシュライトだと思います。もちろん規格化は独自性を殺すので規格化が全てにおいて100%正しい答えではありませんが、フラッシュライト各社が規格化をしないのは何でも対応できるライトが出てしまうと新たなライトが売れなくなるからってのが大きいです。

個人的に思う唯一の拡張性への挑戦はYSCのEX-zero1/2です。

LEDの欠点をカバーしながらもボディ、モジュール、光学系を完全に分離した設計は筆者にとっては非常に衝撃的でした。

もしターボヘッドや小型のTIRレンズやAA対応のボディなどが追加発売されていたら、もしCPFで発表していたら、フラッシュライト界に残る名作となっていたと思います。

買うことができずにYSCの活動停止となってしまったのが残念です泣。もし持ってる方いらっしゃいましたら買い取りますよ?

キセノンからLEDに時代が変わった時に我々は拡張性を失いました。単純にノスタルジーに浸りたいだけではなく、組み替える機能を手放したくないのです。だからこそキセノンの規格にLEDモジュールを突っ込んで遊んじゃうんです。

 

P.S.

フラッシュライト専門店の皆様へ

キセノンモジュール専門のカスタムメーカーのサイト見つけたんですけど、

Tad Customsさん↓の取り扱いどなたか始めてくれませんか?

http://tadcustoms.com/flashlight.htm

ABOUTこの記事をかいた人

ストイックに理詰めで装備システムを構築する実用主義者。ponkyがデザイナーならSはエンジニア(B2は中間でバランス良い)。Sからすれば実用性第一で見た目は二の次のようだ。体力はないが、読図やロープワークは超得意。
イギリス生まれなのにアメリカ英語しか使えない日本育ち。