surefireの個人的考察
フラッシュライトマニアであるサイト管理者の友人Sが言いたい放題に書いています。
surefireは誰もが知るライトメーカーですね。まず6Pがありました。(厳密には6C、いや310か...その辺は間違ってたらすいません)
とりあえず、surefireといったら6Pですね。6Pは皆さんご存知の通り、LED以前のキセノンの世代のライトです。この時代は単純でした。もちろんマグライトはありました。ですが、6Pは当時突出した性能を誇りました。あんな小さなボディから放たれる65lmの明るさに誰もが感動したわけです。コンパクトで強烈に明るい(といっても65lmだが)ライトが欲しけりゃ高い金払ってsurefire6Pを買うしかなかったわけです。
ところが、LEDというものが生まれて懐中電灯の業界はひっくり返るハメになります。LEDはキセノンの明るさをすぐに超えました。キセノンと比べて高効率で衝撃に強く、寿命も非常に長いのです。6Pを超えるパフォーマンスのライトがはるかに安い価格で出現しました。中華ライトメーカーの台頭です。surefireは焦りました。LEDの発達はおそろしく速く、キセノンでは勝てないと気づいたころには市場には200lmとかの明るさを実現しつつも安価で信頼性の高いライトがごろごろころがっていたのです。
surefireがどうだとか語る前に今の時代、キセノン時代のsurefireを知らない方もいらっしゃるかと思いますので軽く説明しますと、キセノン時代のsurefireはモジュラー設計でした。大きく分けて、ベゼル(ヘッド)、モジュール(光るとこ)、ボディ、テールスイッチ、あと電池か、といったパーツで構成されてヘッド部分とテール部分のねじ切りを共通規格にすることで整備性を高め、好みにあわせてパーツを組み替えたりしてカスタマイズできたわけです。6Pが採用していた規格をP規格、E2Eが採用していたE規格と呼ぶことにしましょう。(M規格、U規格、まだまだあるじゃねーかという指摘はとりあえず無視させていただきます)これらの規格には確かに問題点があります。他の方のブログですごいわかりやすく書いてるのを見たことがあります。
問題点こそあれ、これらの規格はかつてのsurefireの圧倒的な市場独占によりスタンダードとなっています。国内のYSCustum、H2Tをはじめ、Oveready、LumensFactory、SolarForceなどといったメーカーがこの規格を基礎としています。
話をもどしますと、LEDの台頭に対応するには単純に6PのP60モジュールをLED化するだけでよかったのです。いわゆるP60Lです。まあ、P規格における放熱性の問題を指摘するのであればKL3、KL5、KX4といったコンバージョンヘッドを使えばいい。P規格のネジの大きさを否定するのであれば、AZ2みたいにヘッドにE規格、テールにP規格を採用すればいい。実際、ヘッドにE規格、テールにP規格というのは18650を使おうと思わない限りはかなり完成度の高い組み合わせでYSカスタムの狛犬なんかもこの組み合わせですね。Surefireのこのモジュール設計はとても有能だったのですが、これだとライトが全く売れないことにSurefireは気づきます。古いライトを持っているユーザーはLEDの進歩に合わせて頭の部分だけとっかえてしまえばいいわけですし、新しくライトを買う消費者は優秀な中華ライトを安く買えるのですから高い金を払ってSurefireを買う必要は全くないわけです。
P系とM系(後継モデルはすべてディスコン)のハンドライトに限った話をすればヘッドをボディに完全に融合させてユーザーはヘッドを取り外せなくなりました。S2やZ2Sのあたりから始まり、6PX、P2Xと現在まで続いている感じですかね。LEDの進化のスピードは非常に速く技術の進歩はすさまじい勢いで進みました。技術が進めばヘッドが外せないからにはライトを新しく買い替えるほかありません。
ちょっと待て、E規格のE系、L、LX系はどうなんだ?とご指摘の方、まさしくその通りでございます。surefireはE規格を残しました。それは賢いことだったと思います。また、ウェポンライトのラインナップにおいてもスカウトライトシリーズでE規格は生き続けています。E規格はなぜ残ったのか?E規格はいろんな意味で優秀だったからではないでしょうか。最初からタワーモジュールを採用し、適切なサイズのネジを採用し、デザイン上の無駄がそれほど大きくなかったのです。LEDの時代になったとき、タワーモジュールをそのままLED化するのは発光特性の違いから効率がわるいです(詳細は関連記事参照↓)。
追記(Sep.2018):シュアファイアが本格的に18650を採用し始めましたが、規格で苦労しているようです。M600DFはスカウトライトですが、寸法の関係上、E規格が採用できないのでヘッドのネジは新たな規格を採用しています。これはある意味仕方無いですね。Fury DFTもヘッドはX規格とは違うみたいで、M600DFのヘッドの規格とも違うみたいです。Fury DFTに関しては寸法的にはX規格でも何ら問題無いのでなぜ新規格を採用したのか意味が分かりません。まあ、もともとヘッドはロックタイトで封印されていて弄っちゃいけない前提ではありますが、、、新しい規格を増やしても手間とコストが余計かかるだけでは??今後の動向に注目。
話を戻しましょう。中華ライトが台頭してもsurefireは製品の価格を下げることはしませんでした。言っちゃ悪いのですが、surefireがとった戦略は自社のライトが最高のライトなんだー!他社のライトとは一緒にすんじゃねー!天と地の差なんだぞ!という印象を消費者に植え付けるというものでした。根拠として長年の軍隊、警察での使用実績を全面的に推すわけですが当時はsurefireしかなかったわけですし(そもそもどれほど多くの部隊でsurefireを配備できるほどの予算があったのかよく知りませんがあんま詳しくないので...)。とりあえずPVに元警官、元特殊部隊、プロのコンペシューターを起用して、となかなか上手いもんです。
ただ、surefireの長年の伝説的な功績は否定できません。事実、surefireは非常に優秀なライトなのです。宣伝は少し過剰かもしれませんが品質、故障率、コンバータの性能などといった点で見れば中華ライトより上なのです(中華ライトもかなり近いところまで来ましたが)。surefireと中華ライトの違いはそもそもの製品コンセプトにあります。シングルモード(明るさの設定が一つのみ)、モーメンタリースイッチ(押し込むと間欠点灯、離すと消灯、常時点灯はクリックではなくスイッチをねじ込む)といった汎用性に乏しいが戦闘行為に向いた製品を中華メーカーは作りませんし、surefireは常にスペックを控えめに表記する傾向があります。中華ライトは基本的に売れるものを作ります。surefireと比べると設計は流行にとても左右されやすいです。これは中華ライトの低価格故の消費者の買い替えサイクルの速さや開発にかかる時間の短さも関係しているかもしれません。
ここで消費者がsurefireがいいライトなのは認める、でも値札に見合うのか?と問うわけです。消費者の多くは民間人です。用途に適しているかどうかも問題になります。surefireは消費者の洗脳(失礼)に成功すればうまくいくのですが消費者もそんなにバカではないようです。
ここまで来てsurefireは今のままでは中華ライトと戦えないことを実感して苦しんでいるのではないでしょうか?こないだの大量のディスコンでE系の二段階調光スイッチやターボヘッドのM系の後継機種を含め、いわゆるsurefireらしい製品を一気に絶滅させ、自動調光、モバイルバッテリー型のライトにキーチェーンライト...と新しいことを始めています。こりゃ軍や警察だけじゃうまくいかないと思って一般のユーザーにも手を伸ばそうともがいてるな。今surefireは迷走しています。XM-L2を積んだ新型P2Xに関しても6Pを彷彿させるデザインで高評価(値段に見合うかは別として)ですがモーメンタリースイッチやコンバットグリップボディの廃止、ノーマルボディとクリックスイッチへの統合というデザイン上の大きな変化があります。surefireは大きな転換点にいるのではないでしょうか?今度のSHOTでなにを出してくるか楽しみです。
surefireがとった経営方針は今から見れば完全に失敗だったのです。歴史を振り返って批判するのは簡単ですが、世の中の変化にあわせてその時時に柔軟に対応するのはとても難しいことです。おそらくPK氏は当時もうすでにsurefireの判断が間違っているのが見えていたので去ったのではないかと思います。ですがその辺は詳しくありませんのであてにしないでください苦笑。
中華のムーンライトモードは便利です。
中華ライトのよくわからんモードが多いのはどうにかしてほしいものです。単純明快な操作法はぜひとも見習ってほしいです…